無邪気な子ども

無邪気な子ども。誰の内にもそんな赤子のような性質が宿っていると思うが、年を重ねて様々な経験に上塗りされるせいか、生きてゆく上でとても大切な純真さ、正直さの象徴である「無邪気さ」を失ってしまっている人が多い。かく言う僕も然り。頭であれこれと考え過ぎたり、あるいは失敗を恐れて行動を止めたり、またはせっかく直感で感じているのにそれとは別の方法を選んでしまったり。それがまた人生と言えば人生なのだが、世の中が加速度的に進化(いや退化か)してゆく中においてはあまりのんびりしていると間に合わないということが起こってくる。それは単に目に見える物質的なもののことを言うのではない(目に見えない世界でも急激な変化が起こっているようなので、とにかくついてゆかねば)。
それには直感と、個ではなく全体を意識する感性を呼び戻すこと。独り静かに何も考えずに佇むこともよし。あるいは独りになれる空間で必要な読書をするもよし。僕の場合はもうひとつ。そう、音楽を感じるという行為。音の律動、そして音を生み出す際に表出される(演奏者の)呼吸・・・。日々じっくりと、あるいは「ながら」で音盤を聴くということももちろんだが、半年前に購入したアルト・リコーダーの練習についてもそろそろ再開しようかと・・・(諸々の事情で休止中だった)。さらには、律動と呼吸を体感的に学べるであろうと思われるのが「武道」。明日も早朝から稽古。とにかくひとつひとつを身体と心で感じてみたい。

力を抜いて、自然体で事に臨もうと。矛盾したような言い方になるが、慌ただしい世間の波にさらわれることなく慌てずマイペースで。
今宵は、人間のあらゆる感情がドラマとなり、人間関係の機微が学べ、投げやりな意味でなく流れに任せて人生を謳歌せよと教えてくれるモーツァルト・オペラを聴いてみようか・・・。どの作品でも良いのだが、モーツァルトがウィーンに移住後最初の名作ジングシュピールでも。

モーツァルト:歌劇「後宮からの逃走」K.384
アーリーン・オジェ(ソプラノ)
レリ・グリスト(ソプラノ)
ペーター・シュライヤー(テノール)
ハロルド・ノイキルヒ(テノール)
クルト・モル(バス)ほか
ライプツィヒ放送合唱団
カール・ベーム指揮シュターツカペレ・ドレスデン

モーツァルトの真髄はオペラとピアノ曲にありというのは定説。生涯に17ものオペラを創作した彼だが、少なくともウィーン定住以降に創作されたものについては間違いなく傑作揃いだと言い切れる。オペラゆえ、本当は舞台に何度でも通うこと、そしてせめて映像つきのもので楽しむのが常套だが、(前から書くように)どういうわけか僕は音楽だけを聴きながら舞台は頭の中で想像して描くという行為が好き。
ところで、「後宮からの逃走」。「魔笛」と同じく、悪玉だと思われていた役が最後には善玉になるという想定。すべては表裏一体。やっぱり物事に良いも悪いもない。そのように判断するのは人間の愚かな思考だと確信する。判断せずありのままを受け容れるとすっきりするよ・・・。

それにしてもベームのモーツァルトは素敵!

3 COMMENTS

雅之

おはようございます。

>どういうわけか僕は音楽だけを聴きながら舞台は頭の中で想像して描くという行為が好き。

結局我々は、エレクトロニクスやオーディオ産業の申し子っていうことなんでしょうね。しかし、「ソニー、2011年3月期に2,600億円の最終赤字」「ソニー、今期も4期連続の最終赤字へ」(パナソニックの赤字はソニーの倍)なんてニュースを読むと、昔は花形だった、CD、オーディオ、AV産業の時代も完全に終焉を迎え、もはや世間からまともには相手にされていないということなんでしょうね。寂しい限りですが(まあ、日本自体が、諸先輩方の迷惑な楽観主義、利己主義、刹那主義、問題先送りのおかげで、世界一の財政赤字を抱えちゃっているわけですが)。

「日本人は真面目に借金を返すが、アメリカには黒人やヒスパニックなんかがいて、破産しても明日から金返さなくても良いアッケラカのカーだ」(渡辺美智雄元外相)てなこと皆が本気で信じてた時代もあったわけです、過去、CDマーケットが爆発的に発展した時代には。

>半年前に購入したアルト・リコーダーの練習

時代はライヴです!!
ベームもライヴでした!!

こんな時代、馬鹿馬鹿しくて、飲まずにやってられるか! 
酒を発明したバッカス万歳!!(笑)
http://www.youtube.com/watch?v=HzaYRQgvUrU

>それにしてもベームのモーツァルトは素敵!

同感でございます。
また、結局いつもの、あのころは良かったってか?(笑)

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岡本 浩和

>雅之様
こんばんは。
おっしゃる通りですね。
文明の進化といわれている事象が本当に進化かどうか疑いたくなりますね。人間が作り出した「もの」や「型」というのはどんなものでもいずれは崩壊します。そろそろ自然に還るときなのでしょう。
その意味でもライブですね!

>結局いつもの、あのころは良かったってか

というよりこれからの未来をそのようにしましょう!!

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アレグロ・コン・ブリオ~第4章 » Blog Archive » モーツァルトに耽る

[…] 昨日はモーツァルトに浸った。今夜はモーツァルトに耽る。またもや最初の本格的なジングシュピール(厳密には「バスティアンとバスティアンヌ」が初)である「後宮からの逃走」を(半年ほど前にも採り上げたが)。僕は昔から「魔笛」を何より愛するが、その「魔笛」の先取りがこのオペラであり、モーツァルトがウィーンに移り住んで間もない時期の作品ですでに完成していたんだということをあらためて確認し、やっぱり感動した。 […]

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