金縛りに遭うが如くのオーラよ・・・

明日は「早わかりクラシック音楽入門講座」にてドビュッシーとラヴェルを中心にフランス近代音楽を採り上げる。フランス音楽については僕自身も比較的年齢を重ねてから愛聴するようになったが、今更ながらこの両巨頭の創作能力には驚かされる。現在でこそ当たり前のような管弦楽的色彩は、19世紀末や20世紀初頭においては画期的であり、一般大衆にとっては極めて刺激的で奇異に映るものだったろうと想像できる。

準備を兼ねて、所有の映像をいくつか観てみたが、久しぶりに鑑賞したせいもあるのか思わず惹きこまれてしまった。例えば、バーンスタインが最晩年にローマの聖チェチーリアで収録したドビュッシーの「牧神」や「海」。あまりに当時のバーンスタイン的な粘着質のアプローチが特長だが、「海」などは北斎の「神奈川沖浪裏」をまさに髣髴とさせるイマジネーション豊かな演奏、バーンスタインの性格というか性質が顕著で、昔はあまり好きな演奏ではなかったが、これは実に素晴らしいのではないかと思った。
それと極めつけは、1982年にミケランジェリがチェリビダッケ(巨匠がまだ立って指揮している頃)&ロンドン交響楽団をバックに収録したラヴェルのコンチェルト!!観ていて金縛りに遭うほどの2人のオーラが凄すぎる。

ミケランジェリの有無を言わせぬ眼力がチェリビダッケすらもねじ伏せるよう。
いずれも気難しいことで有名な音楽家だが、ゆえに相性は抜群のようで、とにかく歯車がかみ合うが如く美しいラヴェルの協奏曲が奏でられる。

ラヴェル:ピアノ協奏曲ト長調
アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリ(ピアノ)
セルジュ・チェリビダッケ指揮ロンドン交響楽団
※これは、かつてクラシカ・ジャパンで放映されたものを録画してあったものだが、正規にリリースはされているのだろうか・・・。

確か20年ほど前にチェリビダッケがミュンヘン・フィルと来日し、ミケランジェリとシューマンだったか何だったかを演奏するコンサートがあったと記憶する。僕はどうしても仕事の関係で行くことができず地団駄踏んだことを思い出す(こういう千載一遇のチャンスを逃したこと自体本当に後悔してもしきれない)。その後、もう一度くらい来日の予定があったように思うが、その時は結局キャンセルされたのではなかったっけ?(記憶が曖昧ゆえまったく確かでないけれど)
ともかく上記の映像を観れば観るほど実演に触れたかった、否、触れるべきだったという思いばかりが募ってしまって・・・。
まぁ、過去は過去。今は亡き巨匠たちの名演奏については残された映像ソフトで楽しませていただくことにして、今を大事にしよう。

ということで、アレクサンドル・メルニコフが1年半ほど前にリリースしたショスタコーヴィチの「24の前奏曲とフーガ」(このCD、収録時間の関係だろうか、第24番のみ3枚目に収められ、表面がCDソース&裏面がDVDソースという変則的なもの。それゆえか3枚目のみ僕のSACDプレイヤーでは読み取ってくれない・・・涙)。作曲家一世一代のこの名作は何度聴いても真に素晴らしい。そして、ピアニストそれぞれの個性が顕著ゆえ、ともかく「生」に触れてみたいと常々思っていた、その矢先、何とこの26日(日)にメルニコフの来日公演が行われ、しかもプログラムはショスタコーヴィチということ。

仕事の関係で涙を飲むところだったが、ひょっとしたらば行けるかもしれないという可能性が少し出てきた。来週頭には結論が出るので何とか・・・。
おそらく大変な感動が待っていると想像する。


4 COMMENTS

雅之

こんばんは。

>ミケランジェリの有無を言わせぬ眼力がチェリビダッケすらもねじ伏せるよう。

同感です。
それで私も久々に思い出したけれど、チェリビダッケで協奏曲といえば、デュ・プレとのドヴォコンも凄演ですよね。
ストックホルム・レコーディング
http://www.amazon.co.jp/%E3%83%81%E3%82%A7%E3%83%AA%E3%83%93%E3%83%80%E3%83%83%E3%82%B1%E3%81%AE%E9%81%BA%E7%94%A3%EF%BD%9E%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%9B%E3%83%AB%E3%83%A0%E3%83%BB%E3%83%AC%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%82%B0-%E3%83%81%E3%82%A7%E3%83%AA%E3%83%93%E3%83%80%E3%83%83%E3%82%B1-%E3%82%BB%E3%83%AB%E3%82%B8%E3%83%A5/dp/B00005HMCU/ref=sr_1_sc_1?s=music&ie=UTF8&qid=1328275761&sr=1-1-spell
あれはじつに貴重な記録ですよね。

メルニコフ、楽しみですね!!

返信する
岡本 浩和

>雅之様
おはようございます。

>デュ・プレとのドヴォコンも凄演ですよね。
ああ、ありましたね!
僕も持っておりますが、すっかり忘れてました(笑)。
これはいいですね。

メルニコフはまだ行けるかどうか何とも言えないので・・・、行けるといいです。

ところで、ご紹介いただいた「さわり」を読んでおりますが、驚きの連続です。
まず、鶴田錦史さんが女性とは知りませんでした!!

先日のコメントでもおっしゃっていたように「ノヴェンバーステップ」についてもそうですが、鶴田さんの数々の録音も非常に気になります。楽器としての琵琶にも。

返信する
雅之

「ノヴェンバーステップ」については、2010年9月5日の、 長野県松本文化会館での(小澤征爾のアドバイスによる)下野竜也指揮 尺八:三橋貴風 琵琶:田中之雄  サイトウ・キネン・オーケストラの演奏が、小澤征爾&鶴田錦史&横山勝也による演奏の魅力に遠く及んでいないことに、驚いたものでした(両方ともあくまでも録画鑑賞での比較ですが)。

これまで私は、この曲の理想的な録音は、静謐な指揮の若杉弘&&鶴田錦史&横山勝也&都響
http://www.amazon.co.jp/%E6%AD%A6%E6%BA%80%E5%BE%B9-%E7%AE%A1%E5%BC%A6%E6%A5%BD%E4%BD%9C%E5%93%81%E9%9B%861-%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E9%83%BD%E4%BA%A4%E9%9F%BF%E6%A5%BD%E5%9B%A3-%E8%8B%A5%E6%9D%89%E5%BC%98/dp/B003RECF1S/ref=sr_1_1?s=music&ie=UTF8&qid=1328410559&sr=1-1
だと信じてきましたが、「さわり」を読み軌道修正したくなりました。

この曲が名曲として成立するには、小澤征爾、鶴田錦史、横山勝也3人の強烈なパッションが不可欠だったような気がしてなりません。黄金のトライアングル!!!

>鶴田さんの数々の録音も非常に気になります。楽器としての琵琶にも。

同感です。

返信する
岡本 浩和

>雅之様
こんばんは。

>この曲が名曲として成立するには、小澤征爾、鶴田錦史、横山勝也3人の強烈なパッションが不可欠だったような気がしてなりません。黄金のトライアングル!!!

なるほど!僕も若杉盤は好きでよく聴いておりましたが、小澤盤はやっぱり特別なんだということがこの本を読んで初めてわかりました。奥深いです。

重ね重ね、「さわり」のご紹介ありがとうございました。

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