「できることをする」ということ

エイブラハム・マズローの言葉に次のようなものがある。
「人間が自分らしくあるためには、音楽家は音楽を演奏し、画家は絵を描き、詩人は詩を書く必要がある。結局、人間は自分ができることをするのが一番いいのだ。」
当たり前のことである。しかし、人は環境や他者の意見に惑わされることが多い。
なぜか?

語弊のある言い方をするなら(少々強引だが)、「私がやりたいことは何だろうか?」と考えるからである。現代は様々な理由により感性、主体性が鈍化している人々が多い。教育や子どもの頃からの環境に左右され、自分が何をしたいかではなくどうあるべきかと考え行動を起こす癖がついているのである。
「できることは何なのか?」を考えた方が確かに早い。人はそれぞれ独自の才能を持っているユニークな存在である。その点に気づくことができれば「道」は拓かれるはずである。

ポール・マッカートニーの「Band on the Run」を聴く。

Paul McCartney & Wings:Band On the Run

ポール・マッカートニーはできることをやり続けた20世紀有数の作曲家の一人である。彼は全ての楽器を自由に操るほどのマルチ・プレイヤーである。そして、ビートルズ時代、ウィングス時代、ソロの時代全てにわたり発表し続けた名曲群は世界中のどこかでいつも口ずさまれている。大変なことである。
しかし、そういう彼もビートルズ時代の後期、リーダーシップをとろうと躍起になり、失敗した。残念ながら、ポールは天才的一芸術家であり、マネージャーとしての力量は二流、つまり、ビジネスマンにはなりえなかったということだろう。

彼の書く楽曲は、ときには甘く、ときには切なく、そしてときにはハードなキレをもつ。「喜怒哀楽」全ての感情を自由に音と言葉で表現できる稀有のアーティストなのである。
ビートルズの中で僕の好みは正直ジョン・レノンだが、楽曲のもつ普遍性という点から考えるとやはりポールに軍配が上がる。
名アルバム「Band On the Run」はソロ以降のポールの最高傑作である。
30年以上経過した今も決して色褪せない。

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1 COMMENT

アレグロ・コン・ブリオ~第5章 » Blog Archive » すべてがショービジネス

[…] 毎々繰り返すが、時間の経過は本当に早い。あと数日で9月も終わる。いやはや、何とも・・・、である。この分だとあっという間に2013年がやって来そうだが、残りのこの3ヶ月が実に色濃いものになりそうで興味深い。世間ではいろいろと騒がれているが、実際何がどうなるのか・・・。 久しぶりにジョン・レノンを聴いた。30年前に相当お世話になった。ビートルズのメンバーの中でもこの人の作品に最もシンパシーを感じ、リリースされたアルバムはすべて手に入れた。ポールのものは”Band On The Run”や”Venus And Mars”、”McCartneyⅡ”・・・などなど極々限られたものしか手元にないし、ジョージについてもアトランダムに数枚(最高作”All Things Must Pass”はオリジナルとニュー・センチュリー・エディションの両方共)所有しているに過ぎないのに、ジョンのものは全部。あの頃、本当に凝った。多分それも1990年頃までだが・・・。凶弾に斃れて10年経過し、目ぼしい音源は発掘され尽くし、ボックス・セット類もいくつか出され、そろそろ打ち止めにしようという思いだったかな・・・。 […]

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