U2:WAR

ほとんど20年ぶりだろうか・・・。
英国に骨を埋めたヘンデルについて興味を持ち、英国で活躍したハイドンの音楽にこれまで以上にシンパシーを感じるうち、以降の英国の音楽家についてはもちろんのこと、英国ロック音楽についてももっと極めてみたくなった。ブリティッシュ・ロックをことのほか愛する僕でも追及はまったく甘い。この奥深い森をどうやって攻めようか思案中ではあるが、とりあえず過去の懐かしいもの、未聴のものあわせて聴き漁ってみようか・・・。いや、その前にきちんとしたナビゲーターが必要かも。若い頃のように時間があり余るほどあるなら適当に流れに任せて歩んでいけば良いのだろうけれど、そんな暇もない。ならば、英国ポピュラー音楽に明るい人に問うのが一番だ。その意味では土曜日の朝、NHK-FMで放送されているピーター・バラカン氏の「ウィークエンド・サンシャイン」などはとても参考になり、興味深い番組なのだけれど、彼くらい詳しい人は僕の周囲にいそうにない・・・。

アイルランドの公民権運動の最中起こった1972年の「血の日曜日事件」を題材にした”Sunday Bloody Sunday”は僕が初めて触れたU2の楽曲。一聴、痺れた。もう30年前のこと。歌詞の内容など知らなかった、この作品が生まれた背景も知らなかった(英国国教会対カトリックといういわゆる宗教的もつれが原因とされるが)。実際のところ、大英帝国の血腥い物語が繙かれないと真相は見えてこないのだろうけれど、それこそ「赤い楯」で深掘りしたロスチャイルド家のこと、あるいはヘンデルを勉強するうちに知った王室にまつわることなどが確実に関連していそうで真に興味深い。

歴史を縦横に、様々な角度から知り尽くす行為は面白い。
同じように音楽を、ジャンルを問わずあちこち飛びながら聴き込んでゆく行為も愉快だ。
初期U2のストレートで張りのある音が僕は好き。
なぜか?プロデューサーがSteve Lillywhiteだから(Peter Gabrielの名作サード・アルバムは彼)。

U2:WAR

Personnel
Bono (vocal & guitar)
The Edge (guitars, piano, lap steel, vocal)
Adam Clayton (bass)
Larry Mullen Jr. (drums & percussion)

ともかく「音」が鮮烈で古びない。いずれの楽曲も本当に素晴らしい。
“New Year’s Day”を聴くと、あの頃が蘇り堪らない。詩篇第40番をモチーフにした”40”なども最高!
ベンジャミン・ブリテンが亡くなった1976年にダブリンで彼らはアマチュア活動を始めた。そして1980年にメジャー・デビュー。”War”は3枚目にして全英チャート初登場1位を獲得した傑作。ちなみに、”War”というタイトルには二重の意味が隠されている。「戦争」であると同時に裏返しの”Love”(愛)ということを意味し、その想いが根底にあったということ。

「”War”は、いろんなレベルにある”戦い”を扱ったものなんだ。国と国との戦いだけではなく、ひとつの国の中にだって戦いはある。市民権の戦いもあれば、人と人同士の戦い、そして、男女間の戦いもね。都市に暮らすことの戦いもあれば、十分な給料をもらえずに工場で働かなきゃならないことの戦いもある」
「確かに”戦い”がテーマだ。それも、何かを壊して新しいものを築いていくためのもの。決して否定的なアルバムなんかじゃないんだよ。つまり愛ということについて、あそこには愛の歌がぎっしりと詰まっている。例えば、”New Year’s Day”は、戦争と闘争についての歌なのは確かだ。でも、愛の歌でもある。すべての困難に立ち向かい生き残っていくために持つべき信念についてのものなんだ。愛は、とてもパワフルなものだと思うよ、お互いが愛し合うこと以上に強いものはない」
(ライナーノーツよりBonoの言葉)

U2を聴いていたのもせいぜい80年代。90年代に入るやほとんどポピュラー音楽を追わなくなったので、彼らのその後のアルバムを聴いていない。やっぱりきちんと押さえねば。

 

 


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