ジョルジュ・エネスコの演奏(オーパス蔵)を聴いて感じる

poeme_la_follia_enescuいっぱい頭を使って、いっぱいしゃべって疲れた。
思考停止。となれば、そういう頭を冷やす音楽は何だ?
10月なのに妙に蒸し暑い。にわか雨の影響か?ならば、そういう空気を払拭する音楽は何だ?

ヴァイオリニストとしての自身を不本意と彼はした。あくまで作曲家なんだと。
しかしながら、残された録音を聴く限り、20世紀の類稀なヴァイオリニストのひとりだ。古い録音から響きわたる艶めかしい音。そして、真に音楽的な表現。エルネスト・ショーソンの「詩曲」が見事に映える。瞑想のような、愛に満ちた音楽を、彼はとても人間的な表現で聴く者を圧倒する。コレッリのソナタにおいても、不思議な寂しさを湛える。自らの感情の奔流を音化する才能にかけて彼の右に出るものはいないのではないのか?言い過ぎかもしれぬが、少なくともこの復刻盤を聴く限りにおいてそのような感慨をもたらす。何よりピアノとの息の合った掛け合いが素敵。思わず「快哉」を叫びたくなる一体感。

ジョルジュ・エネスコ(ヴァイオリン)
・ショーソン:詩曲作品25
・コレッリ:ソナタニ短調作品5-12「ラ・フォリア」
・プニャーニ:ラルゴ~ソナタ第3番
・クライスラー:・ガエターノ・プニャーニの様式によるテンポ・ディ・メヌエット
・ヘンデル:ソナタニ長調作品1-13
サンフォード・シュルッセル(ピアノ)(1929録音)
・エネスコ:ヴァイオリン・ソナタ第3番イ短調作品25「ルーマニア民謡の特徴による」
セリニ・シャイエ=リシェ(ピアノ)(1950録音)

酔っているせいなのか、プニャーニを聴いていると涙がこぼれる。あまりに郷愁に満ちる。その後に聴くクライスラーの「プニャーニ風」は、いかにもクライスラー、ウィーン風の味付けで、明朗かつ愉悦的響きに心が躍る。それでいて、やっぱりどこか悲しげだ。
ヘンデルはいかにも大時代風。バロックの枠を完全に逸脱するが、ワーグナーの言う「アニマ」的要素を付加することで、音楽は一層活き活きとする。バッハ同様、いやバッハ以上にヘンデルの音楽は時代の先を行っていた。最晩年のベートーヴェンがヘンデル全集を座右の書にして研究していたことがよくわかる。それほどに感情のこもった緩徐楽章(アダージョ&ラルゲット)にシンパシーを覚える。
そして、自家薬篭中の自作自演。晩年に録音されたものだけに、その精神的内容の深さが如実に感じとれる。特に、第2楽章アンダンテ・ソステヌート・エ・ミステリオーソの音色と響き。僕の感覚からするとほとんどプログレッシブ・ロック的・・・。

 


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