King Crimson:Live in Japan 1995 The Official Edition (1995.10.5&6Live)を聴いて思ふ

king_crimson_live_in_japan_1995306ロバート・フリップの脳は常に10年を先取りする。
70年代のクリムゾンを知らず、興味を持った頃には既に80年代クリムゾンの活動時期で、周囲のクリムゾン・フリークたちはその復活に超否定的。結果、ブリューとレヴィンのいたタイトでソリッドなクリムゾンをほとんど食わず嫌いのまま90年代を迎えた僕は、やっぱり時間を無益に過したプログレ半端者だとこの際自虐気味に語ろうと思う。

12年ぶりにキング・クリムゾンが来日する。何と3人体制ドラムスの7人編成クリムゾン!しかも、これまでのライブではほとんど封印されていた70年代の楽曲が目白押しでセットリストに入るだろうという触れ込みゆえ、どうにも無視するわけにはいかなかった。

実際一方で、ジャッコ・ジャクスジクなる男のヴォーカルはどんなものなのかという怖いもの見たさという想いと、とはいえメル・コリンズのプレイが生で聴けるという期待などが入り交じる複雑な心境。ともかく体感せずには何も語れない由。

ちょうど20年前の10月、ダブル・トリオのクリムゾンが来日したとき、僕は初めてキング・クリムゾンを目の当たりにした。中野サンプラザが実に熱かった。完璧なテクニックによる音楽の再生に舌を巻き、そのテンションと熱に焦げ付きそうになり、終始震えが止まらなかった。”Red”に触れたときも”Larks’ Tangues Part 2”に触れたときも涙がこぼれた。あるいは、BelewとBrufordによる即興パーカッション・アンサンブルには度肝を抜かれた。
あの公演を観て、僕は80年代のクリムゾンが決して間違いではなかったことをようやく悟ったのだった。

King Crimson:Live in Japan 1995 The Official Edition (1995.10.5&6Live)

Personnel
Adrian Belew (guitar, voice)
Robert Fripp (guitar, soundscapes)
Trey Gunn (touch guitar)
Tony Levin (basses, Stick)
Pat Mastelotto (acoustic and electronic drums and percussion)
Bill Bruford (acoustic and electronic drums and percussion)

king_crimson_live_in_japan_199530790年代クリムゾンを象徴する“VROOOM VROOOM”も”THRAK”も期待に違わぬ見事な演奏。これほど重く、かつセンス満点のインスト・ナンバーは聴いたことがない。
そして、80年代クリムゾンの”Frame By Frame”や”Matte Kudasai”における、ブリューのギター・エフェクトの美しい色彩感。
今から思うと、あの90年代のクリムゾンも奇蹟に近い復活だったのでは?
ダブル・トリオであるがゆえの音の厚みと、アンサンブルの複雑さを超えて紡がれるバンドの完全なる一体化、さらには炸裂するメタル・パワーのエネルギーは後にも先にもあの時代のクリムゾンならではのものでなかったか?
残念ながらあの体制が空中分解して以降、急速に興味を失した僕はもはやクリムゾンを追うことがなかったゆえ、それ以降、すなわち2000年代のクリムゾンについてははっきりと抜け落ちていて比較対象を持たないのだけれど・・・。

あの日あの時のシーンが見事に蘇る。
息つく暇も与えぬ最高のパフォーマンスの記録は、今後も色褪せることはないだろう。
果たして今年12月の公演はいかに?

 

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