“The Beatles Anniversary Edition” (2018)を聴いて思ふ

分断という幻想の中にある統合。
ジョージ・ハリスンの邸宅で繰り広げられた、文字通りアットホームなイーシャー・デモの心地良さ。これほど一体のビートルズを聴いたことがなかった。

世間で何も知らずに語られる言葉ほど怪しいものはない。いわゆる「情報」というやつだ。真実は本人たちの間にしか存在しないのだ。“The Beatles”、通称「ホワイト・アルバム」は、個々のビートルの創造物の寄せ集めだという世評が大半を占めていたけれど、40年近く前、初めて聴いたとき(リリースから遅れること10余年)から僕にはまったく違和感がなかった。

いかに彼らが用意周到に事を進めたか。すべてが偶然の産物ではないのである。でないと、あれほど世界を席巻するパワーを持たないだろう。

周囲の世界で—ぼくら自身の世界の中でも—高まっていた緊張は、音楽にも影響をおよぼしたけれど、いざプレイする段になると、そうしたすべては消え去って、ザ・ビートルズという四角形の中の魔法円が生み出された。“ホワイト・アルバム”に収められた多様な音楽は、全体として見ると、なぜかひとつにまとまっていた。
(2018年7月3日、ポール・マッカートニー「ぼくら、ザ・ビートルズ」)
UICY-78856ライナーノーツ

今更確認するまでもない、当然本人たちには自明の理だったということだ。
新たにリマスターされた2枚組の、これまで耳に届かなかった音の新鮮さにまずは感応する。しかし、やっぱり出逢えて良かったのは、イーシャー・デモだ。

・The Beatles Anniversary Edition (2018)

Personnel
George Harrison (lead, harmony and background vocals, lead, rhythm, acoustic and bass guitars, etc.)
John Lennon (lead, harmony and background vocals, acoustic, lead, rhythm and bass guitars, etc.)
Paul McCartney (lead, harmony and background vocals, bass, acoustic, lead and rhythm guitars, etc.)
Ringo Starr(drums and assorted percussion, etc.)

シンプルでありながら熱のこもったパフォーマンス。ビートルズは偉大だ。実際彼らが綿密なリハーサルと、緻密なアンサンブルの下、類い稀な傑作を生み出したのだということをこのエディションによって僕は再確認した。すべてが半端ない。

「ぼくは瞑想から宗教までいろいろやってみたが、ぼくの求めているものは得られなかった」とこれはジョージだ。「何かぼくの人生に失われたものがある」彼らの道案内人であり、指導者だったブライアン・エプスタインの死はビートルズにとって他の何人にも埋めあわせのつかぬ空白をつくってしまた。
「あれはぼくらがはじめて真剣に死に直面した最初の出来事だった」とハリソンは語る。「死とは何か、死は終わりなのかぼくらは知りたかった。降神述師に会ったりしたのも、もしやブライアンと会えるかと思ったからだ」ブライアンと降神術師を通して会えたかどうかハリソンは明らかにしてくれなかったがこう話してくれた、「ぼくらは降神術師に会ったことで非常に満足した。死が決して終りでないことが分かったからだ、死後の世界が絶対あるんだ」
ミュージックライフ編「ビートルズの軌跡」(シンコー・ミュージック)P288

素朴だけれど、喜びに溢れる”While My Guitar Gently Weeps”に感涙。
あるいは、ようやく”McCartney”に収録された”Junk”の哀感。そして、後に歌詞を変え、”Jealous Guy”(“Imagine”所収)として生まれ変わった”Child of Nature”にある超越体験。

ジョンとポールはそれぞれに、マハリシの自然に関する講和から着想を得て曲を書いた。
“Mother Nature’s Son”の奇蹟。シリアル・ナンバー0081385。

 

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