“McCartney”を聴いて思ふ

mcCartney179このアルバムの評価は正直難しい。
シンプルだけれど赤裸々、あまりにプライベート過ぎてリアル。
真実がどうかは別にして、世間一般的に知られるビートルズ解散時のメンバー間のいざこざの凄まじさは、ビートルズという幻想を十分に打ち砕くだけの毒をもつ。
足の引っ張り合いというのか、それぞれがあくまで自分が正しいのだと主張する。
そもそも若気の至りといえばそれまでだが、ポール・マッカートニーの自己中心主義というのは並大抵でない。それだけ才能があった(ある)人だから許されたようなものか。

ちなみに、”Teddy Boy”のソロ・ヴァージョンビートルズ・ヴァージョンを比較してみると面白い。もちろんちょっとしたギグの、もともと発表するつもりのないテスト録音ということもあるが、ジョンと絡む笑いの混じったビートルズ版にみる一体感という愉悦。
一方、ポールのソロは妙にあらたまったもので、正規録音とはいえどこか物悲しく、同時に「我」が垣間見えるもの(録音から45年を経た今となってはそれがまた不思議な「味」になってはいるのだけれど)。

McCartney

Personnel
Paul McCartney (vocals, acoustic and electric guitars, bass, drums, piano, organ, percussion, Mellotron, toy xylophone, effects, backing vocals)
Linda McCartney (harmony and backing vocals)

気楽に歌われる”Every Night”の音調は”Hello Goodbye”に通じるもの。ポールならではの旋律が素敵。シンプルで哀愁を帯びる”Junk”も、(僕の感覚では)どちらかというとビートルズのデモ・ヴァージョンに一日の長あり。なるほど、レノン&マッカートニーというのは唯一無二のハーモニーを生み出すことができる不滅のコンビなのだとあらためて実感。美しい。
そして、リンダとのデュエット曲”Man We Was Lonely”の意気揚々たる自信に満ちた歌声。

ところで、1979年のライヴ収録を中心としたボーナス盤の素晴らしさ。当時のポール・マッカートニーのライヴ・パフォーマンスの生き生きとした姿が刻印され、その質の高さが自ずと証明される。

ポール・マッカートニーの再びの来日を記念して。

 

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