生涯現役、生涯勉強

bach_grimaud.jpg人は何か問題に直面すると自己反省し、謙虚になろうとする。謙虚ならいいのだが、それが萎縮になってしまうとかえって良くない。等身大の自分でいること。それ以上でもなければそれ以下でもない。ストレスなく自由でありながら、人とも素直に正直に分かち合うことができたら、それが一番楽だし自分らしい。

実は、人間誰でも自分自身をありのままに受け容れることが実は最も難しいのでは・・・、と最近考えている。「等身大の自分」って何だろう?

他者評価というフィルターを通さず、過去の体験を振り返り、没入体験(すなわち、時を忘れて熱中した体験)や辛酸体験(とても辛かったこと)を思い出し、その事実にどっぷりと浸り、全てを受け容れること。そして、今ある「ありのままの自分」を認めること。特に、過去の辛酸体験を棚に上げず直視すること。他人には言えそうもない、トラウマになっているようなマイナス体験までも心を開いて素直に人に話せるようになるだけで、生き方が変わり、人間関係までもが随分変わるはずなのである。

どんな立場であっても(教育に携わる人-すなわち教師であっても、企業を経営するトップであっても、フリーランスで働く人たちにとっても)一生勉強、謙虚に学ぶ姿勢は保つべきだとある会合に出て、思った。何だか「先生」という名のつく職に就いている人に限って状況に胡坐をかいてしまい、自己成長の機会を逸してしまいがちになるのではないかとも思った。生涯現役、生涯勉強。

バッハ
エレーヌ・グリモー(ピアノ)
ドイツ・カンマーフィルハーモニー・ブレーメン

J.S.バッハのいくつかの鍵盤音楽(平均律クラヴィーア曲集から、そしてピアノ協奏曲)と、後世の作曲家(リスト、ラフマニノフなど)によるバッハ・トランスクリプションを集めた「BACH」という名の素敵なアルバム。店頭で見かけてついついジャケット買い(ピアノを背景にしたグリモーのゾクッとするほど大人びた全身ショットと裏側には可憐な肖像写真)。話は脱線するが、最近のDeutsche Grammophonのアルバム装丁は、ポップ・ミュージックのジャケットのようにお洒落だ。

ところで、肝心の音盤の中身。
1.前奏曲とフーガ第2番ハ短調BWV847~平均律クラヴィーア曲集第1巻
2.前奏曲とフーガ第4番嬰ハ短調BWV849~平均律クラヴィーア曲集第1巻
3.ピアノ協奏曲第1番ニ短調BWV1052
4.前奏曲とフーガ第6番ニ短調BWV875~平均律クラヴィーア曲集第2巻
5.シャコンヌニ短調~無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番BWV1004(ブゾーニ編)
6.前奏曲とフーガ第20番イ短調BWV889~平均律クラヴィーア曲集第2巻
7.前奏曲とフーガイ短調BWV543(リスト編)
8.前奏曲とフーガ第9番ホ長調BWV878~平均律クラヴィーア曲集第2巻
9.前奏曲ホ長調~無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第3番BWV1006(ラフマニノフ編)

うおー、これは良い!続けざまに2回聴いた。テクニック完璧、心も伝わる全脳全開の理知的官能的なバッハ。「前奏曲とフーガ」もさることながら、僕のお気に入りはブゾーニ編曲による「シャコンヌ」とラフマニノフ編曲による無伴奏パルティータ第3番の「プレリュード」。この人間技とは思えない難曲をいかにも軽々と、しかも感動的に弾ききるエレーヌ・グリモーの頭脳はどうなっているのだろう?ピアノの音も信じられないほどの美しさ。これこそまさに「宇宙」なり。

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