バーンスタイン指揮アムステルダム・コンセルトヘボウ管 シューベルト 交響曲第5番(1987.6Live)

広上純一さんは若き日(29歳の時)、わずか1ヶ月ながらレナード・バーンスタインに師事したらしい。
レニーのリハーサルにまつわる興味深いエピソードを聞くにつけ、巨匠が実に人間味豊かで人間らしい人だったことがわかる。それに、バーンスタインが160cmにも満たない小柄な体格だったと聞いて吃驚。映像で見る限りとても大柄な人に見えるから(僕が実物のバーンスタインに出会える機会は最後の来日公演の時だったが、彼の病気によるキャンセルによってそれは永遠に葬られた)。

広上さんが、コンセルトヘボウの、誰もいない客席でバーンスタインのリハーサルに触れることができた幸福感(お客が誰もいないところで、世紀の大指揮者が音を出していて、それを聴ける喜びに浸っていた。死んでもいいんじゃないかと思うくらい幸せだった)を語っておられるが、その日はシューベルトの交響曲第5番のリハーサルの日で、何と第2楽章から始まったそう。とにかくそのときの第2楽章アンダンテ・コン・モートの美しさたるや、天上の調べ(というより、鬱蒼とした森に差す一条の光)そのもののようだったらしい。

・シューベルト:交響曲第5番変ロ長調D485(1816)
レナード・バーンスタイン指揮アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団(1987.6Live)

この演奏を初めて聴いた35年前、確かに僕も感激した。カップリングの「未完成」交響曲、それに前後して(どちらが先だったか忘れたが)リリースされたハ長調「ザ・グレート」も大変優れた名演奏で、くり返し幾度も耳にしていたことを思い出す。実に浪漫溢れる晩年のバーンスタインらしい解釈で、それは今もって愛聴の音盤として僕の中で君臨している。

19歳のフランツ・シューベルトの天才。
そして、69歳のレナード・バーンスタインの奏でる忘我の第2楽章アンダンテ・コン・モート。他の楽章はおまけのようなものだと広上さんは語るが、バーンスタインのこの演奏のリハーサルをその場で聴いてしまったら、そう考えても仕方ないだろう。それほどに見事な演奏。

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