三位一体

22年前の昭和天皇崩御の時のように、テレビや新聞から広告が消え、イベントを自粛する企業が相次いでいる。未曽有の災害に対してどう乗り越えていけばいいのか、そして計画停電という誰もが経験したことのない事態にどう対処していけばいいのか、前例がない事柄に人間は混乱を来すものだが、日本人はお行儀がいいのか、たいして大きなトラブルもなく事が進んでゆく(東北の現地ではもっと大変なのかもしれないが、マスコミの報道はごく一部を大袈裟にする傾向がなきにしもあらずだから、心温まる人間らしいお話もたくさんあることだろうし、少なくともこれを機に大勢の日本人がひとつになって頑張ろうとしている様子が伺えるから不幸中の幸いといえるかも)。海外ではこういう非常時には無政府状態になったり略奪が起こったりすることが当たり前なのに、日本ではそういうことが一切起こっていないことに驚かれているのだとか・・・。日本人のメンタリティというのは捨てたものじゃないんだということをあらためて実感する次第。

楽しみにしていたエリアフ・インバル&東京都響の定期公演も中止になった。バルトークの第2協奏曲(ヴァイオリン:庄司紗矢香)と「青ひげ公の城」(演奏会形式)に触れられるまたとないチャンスだったのに残念でならない。国家の非常事態という時に歌舞音曲など怪しからんという声もあるのだろうが、こういう時こそ一丸となって音楽をして音楽で癒すということもありなんじゃないかというのが(元々音楽・イベント業界で働いていた経験のある僕の)本音。いつまた大きな余震が来るか予測できないことと、なるべく節電するという姿勢がどの企業、組織にもあるだろうからこの措置は当然なんだろうけど。

少し街を歩いてみた。1週間が経過してだいぶ落ち着いてきたように見える。もちろん毎日のように揺れる(大小含め)。だから決して気は抜いちゃいけないが、過剰な心配は避け、ひとりひとりがやっぱり通常通りの生活を取り戻し、楽観的に活動してゆく姿勢が大事かな。

Bill Evans Trio:Explorations

Personnel
Bill Evans(p)
Scott LaFaro(b)
Paul Motian(d)

ちょうど半世紀前、ニューヨークで録音されたという不滅のトリオを聴く。静謐な響きの中にプレイヤーひとりひとりが確信を持って自身の楽器を操る「熱気」と「エネルギー」に満ち溢れた傑作。当日、Scott LaFaroとPaul Motianは一触即発の状態だったらしいが、そんなことは一切感じさせない真に「楽天的」な音楽たち。このゴールデン・トリオの残した4枚のアルバムは本当にどれひとつとして外せない。

こういう状況においてこそ勇気を与えてくれる三位一体という言葉が相応しい演奏・・・。


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アレグロ・コン・ブリオ~第3章 » Blog Archive » インバル&都響スペシャル~R.シュトラウス

[…] 僕は昔から妙にリヒャルト・シュトラウスの音楽にシンパシーを感じてきたのだが、その理由が何だか突然わかった気がした。エリアフ・インバル指揮による東京都交響楽団のスペシャル・コンサート。楽しみにしていた3月のバルトーク・プログラムが中止になったこともあり、俄然この日が待ち遠しかった。昨年11月にブルックナーの第6交響曲を聴いて以来。終わっての感想は「ともかく良かった、最高だった」という一言。 […]

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アレグロ・コン・ブリオ~第4章 » Blog Archive » 何ともショスタコ漬け

[…] 月に最低でも1度は生演奏に触れようと努力をしている。 単なる趣味ではあるが、それ以上に「いま」を体感し、自分の感性を鈍化させないという目的をもって。音楽を通じてのコミュニケーション。その場にあって、アーティストの呼吸を感じ、作曲家のエナジーを感じ・・・。 ということで、今月は26日(日)にアレクサンドル・メルニコフのリサイタルでショスタコーヴィチを、来月は11日(日)にアマ・オケではあるもののオーケストラ・ダスビダーニャによるショスタコーヴィチの「レニングラード交響曲」ほか、そして23日(金)にはインバル&都響による同じくショスタコーヴィチの第4交響曲ほかを。何ともショスタコ漬け(笑)。こんなに素敵な月間がこれまであったかと思われるほど。ということで、しばらくソビエト連邦の二枚舌作曲家(?)の音楽を堪能させていただこうかと思っていた矢先、久しぶりに訪れたタワーレコードで何とも魅力的な音盤を発見。ついつい手が出てしまった(メルニコフによる協奏曲も未入手だからこちらも早いところ聴かねばなのだけれど)。 本当はもう少し聴き込んでからゆっくり記事にしようと思ったのだが、一聴我慢ならない(笑)。ショスタコーヴィチのこの本来暗鬱たる名曲たちが何と明るく響くことか!!実に悲しみと喜びの裏表一体の妙味。おそらくこれはソリストの力量に依るものだと思うが、昨年3月に実演に触れる機会を逸したゆえ、ますます気になって仕方がない。僕にとってやっぱり彼女は未知数。これは何としても「生」を聴かねばと再決心。 […]

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