ミルシテイン ホロヴィッツ ブラームス ヴァイオリン・ソナタ第3番ニ短調作品108(1950.6録音)

ミルシテインとホロヴィッツの演奏するブラームスを聴いた。
第1楽章アレグロなど随分速い。
しかし、テンポ記号など鑑みるに、理想的なテンポ設定なのかもしれない。
何より二人の呼吸がぴったり合っている。おそらくホロヴィッツの体内時計に合理なのだろうと想像する。つまり、この演奏はピアニストが引っ張っているのである。
それにゆえに、円熟のブラームスの作品はヴァイオリニスト(公開初演はイェネー・フバイ)よりも、むしろブラームス自身のピアノ演奏を軸に構築されたものなのだ。そのことをホロヴィッツとミルシテインは見事に体現する。何と威勢の良い、切れ味鋭いブラームスであることか(献呈者はハンス・フォン・ビューロー)。

暗い第2楽章アダージョに秘められた悲哀は、いつの間にか愉悦に変貌する。
そして、第3楽章ウン・ポコ・プレスト・エ・コン・センティメントで、ミルシテインのヴァイオリンが軽やかに動き回り、ついに終楽章プレスト・アジタートにおいて自在に弾けるのだ。

ついに春が来た!

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