コロナ禍中の無観客でのライヴ・パフォーマンス。
音楽に没入するアルゲリッチの姿と、奏でられるショパンのソナタの、水も滴る新鮮さ。
おそらく無観客だったからこその完全さがここにはあるのではなかろうか。
余計な気に影響されないアルゲリッチのパフォーマンスは、どこまでの純白で、どこまでも永遠だ。

・ショパン:ピアノ・ソナタ第3番ロ短調作品58(1844)
マルタ・アルゲリッチ(ピアノ)(2020.6.25Live)
ハンブルクでのライヴ・ストリーミング。
ノアンのジョルジュ・サンドの家で作曲された、古典美の限りを尽くす名曲だが、そう思うとアルゲリッチの風貌はまるでサンドのようだ。
全編が当時のショパンの喜怒哀楽様々な心境を明記するが、中でも第3楽章ラルゴの内なる熱波はアルゲリッチならではのパッションの顕現であり、この音楽の中にずっと埋もれていたいと思わせるほど(完全無欠のショパン)。


