フリッチャイ指揮ベルリンRIAS響 ヨハン・シュトラウスII ワルツ「春の声」(1952.6.17録音)ほか

初夏にウィンナ・ワルツ。
明朗で軽快なリズムに乗って、瞑想する。
動の中の静とは、こういうことを言うのだろうか。

フリッチャイのウィンナ・ワルツは、独墺系正統派。そして、推進力に富む。
(実に硬派だ)
特に病に倒れる前のフリッチャイの指揮は、筋肉質で、生命力に富む、果敢なものだった。
その特長はこのウィンナ・ワルツ集にも現れている。
小細工はなくとも、音楽そのものの流れに合わせて見得を切る、彼の方法はあくまで自然体。そしてそれがまた聴く者に愉悦をもたらすのである。

フリッチャイ指揮ベルリン放送響 ヨハン・シュトラウスII世 喜歌劇「こうもり」序曲作品56ほか(1961.2録音)

弱冠14歳でブダペスト音楽院に入学したフリッチャイは、与えられた環境の中で結果的に英才教育を受けることになる。
ゾルターン・コダーイの作曲の授業、レオ・ヴァイネルの室内楽の授業、あるいはバルトークのピアノの授業などで音楽の本質を学んだようだ。

ブダペスト音楽院には、2つのコンサートホールがあるが、一つは舞踏会用ホールで、もう一つはいわゆる音楽院ホールである。たいていのオーケストラ演奏会はこの2つのホールで行われたので、毎日のように午前中には著名な指揮者によるリハーサルがあった。メンゲルベルクが来たかと思えば次はワインガルトナー、クライバーの次にはシューリヒト、フルトヴェングラーに続きクレンペラーやブルーノ・ワルターといった具合だ。妨げるものは誰もいない。2階のオルガン席に忍び込みリハーサルを聴く、このことは私たちの人生においてこの上ない宝物となった。
フェレンツ・フリッチャイ著/フリードリヒ・ヘルツフェルト編/野口剛夫(訳・編)「伝説の指揮者 フェレンツ・フリッチャイ 自伝・音楽論・讃辞・記録・写真」(アルファベータブックス)P18

何とも羨ましい限り。この人は指揮者になるべくしてなったのだと思う。人は環境によって作られるのだ。

ヨハン・シュトラウスII世:
・ワルツ「美しく青きドナウ」作品314(1949.9.16録音)
・ワルツ「ウィーン気質」作品354(1951.1.16録音)
・常動曲作品257(1949.9.16録音)
ヨハン・シュトラウスII世&ヨーゼフ・シュトラウス:
ピツィカート・ポルカ(1950.7.4録音)
フェレンツ・フリッチャイ指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
ヨハン・シュトラウスII世:
・喜歌劇「こうもり」序曲(1952.6.10録音)
・喜歌劇「ジプシー男爵」序曲(1952.9.10録音)
・ワルツ「春の声」作品410(1952.6.17録音)
・ワルツ「南国のバラ」作品388(1952.6.8録音)
・ワルツ「朝の新聞」作品279(1952.9.11録音)
・アンネン・ポルカ作品117(1952.6.8録音)
・トリッチ・トラッチ・ポルカ作品214(1952.6.8録音)
ヨハン・シュトラウスI世:
・ラデツキー行進曲作品228(1952.6.7録音)
フェレンツ・フリッチャイ指揮ベルリンRIAS交響楽団

いずれもベルリンは、イエス・キリスト教会でのセッション録音。
RIAS響との録音は、74年前のちょうど今頃の時期に収録されたものが中心だ。
最晩年の再録盤とは趣が異なる、果敢なフリッチャイの棒。

「こうもり」序曲の勢いは、同じ頃のクレメンス・クラウスの演奏に引けを取らない熱を帯びる。

クレメンス・クラウス指揮ウィーン・フィル ヨハン・シュトラウスⅡ ワルツ「美しく青きドナウ」ほか(1950-53録音)

そして、同年の今日、収録された「春の声」が躍動感に溢れ、また素晴らしい。

さらに、颯爽と、優雅な「朝の新聞」は、アンネン・ポルカと併せ、切れ味鋭く、とても魅力的。

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