テレビをつけるとどのチャンネルも大地震に関するものだから、都度情報を収集するために時折サロンでワンセグをつける。どこでも節電を心がけるよう叫ばれているし、明日から輪番停電が実施されるようなので、なるべく早めに切り上げて帰宅して寝てしまおうかとも思っている。ちなみに、昼間はダウンジャケットが邪魔になるほど暖かかった。お陰で暖房要らずで、少しでも節電に協力できる天候であることが心地良い。
とはいえ、静かにじっとしていると常に「揺れている」のがわかるし、時々深度3くらいの地震が襲ってくるものだからまったく油断はできない。街ゆく人の多くはコンビニやスーパーのビニール袋を携えていて、中には非常食やトイレットペーパーらしきものが入っている。一方、歌舞伎町あたりや百人町(いわゆるコリアン街)あたりを闊歩する若者は、世の中で起こっていることなど一切関知せず、どこ吹く風というような様子の者もいる。十人十色、老若男女いろいろな人間の坩堝である東京っていう都市は何とも面白い。
音楽など聴いている気分じゃないことを昨日書いた。我々がそうこうしている間に、被災地では必死に闘っている人がいるかと思うとそんなことを感じた。でもその一方で、確かに音楽には人だけでなく、そんな空気をすら癒す効果があるようにも思える。大変な状況であるからこそ音楽の力が必要なんだよと妻は知人に言われたそうだ。
困難な情況の時に心を救ってくれる音楽は誰にでもあろう。
究極の「祈り」ソングだと思う楽曲。ひとつはThe Beatlesの”Let It Be”、またひとつはSimon & Garfunkelの”Bridge Over Troubled Water”。いずれも1970年にリリースされた作品。英国と米国というロックの2大聖地から生まれ出たアーティストたちのいずれもラスト・アルバムのタイトル・ソング。バンドの歴史は各々そこで幕を下ろすが、彼らが残した音楽が不滅であることは、その作品を聴けばわかる。
Paul Simonの作った楽曲を「天使の歌声」という異名をとったArt Garfunkelが歌う。そんな名デュオが残したもうひとつの祈りの音楽。
Simon & Garfunkel:Parsley, Sage, Rosemary and Thyme
初めて”Scarborough Fair/Canticle”を聴いた時、感動した。イギリス民謡を原曲とする”Scarborough Fair”に組み合わせる形でPaulオリジナルの”Canticle”が歌われる。この発想!この才能!
祈りの音楽を・・・。
[…] 1968年にリリースされたポール・サイモンとアート・ガーファンクルの傑作。その次の「明日に架ける橋」やその前の「パセリ・セージ・ローズマリー&タイム」の間にあってあまり注目されない音盤のように思うが、ロベルト・シューマンが「ギリシャの乙女」と呼んだ、ベートーヴェンの「エロイカ」と「運命」の間に挟まれる第4交響曲のように時代を超え、燦然と輝き、とても濃い内容を持つ。特にA面の組曲風”Bookends”が最高! […]