くるみ割り人形

tchaikovsky_argerich_economou.jpg今日は千葉県にある某大学。いよいよ師走に入り、2010年度の就職戦線も活発になってゆくこの時期、学生の目の色も少しずつだが変わってきている。少なくとも「面接対策」と称する授業に顔を出す学生は何やかんやいいながら意識は高いのだろう。
今日の反省点。どうやら僕は講義になると声のトーンがひとまわりもふたまわりも高くなるようで、しかもマイクを通すものだから相当うるさかったよう。聞き手の様子を見ながら声の調子もコントロールせねば。さらに、テキストや資料のどこを講義しているのかを細かく教示して進めてほしいと。熱くなるとついつい細かいところがおざなりになる。相手がこちらの話についてきているかをしっかり見極めることが大事。まさにコミュニケーションである。それと、笑顔・・・(笑)。どうも僕の顔は「恐い」という印象を与えるらしい。そういえば昔からことあるごとに「スマイル!」といわれていた。うん、勉強になります。
二十歳そこらの学生諸君は本当にかわいいと思う。何とかがんばって成果を出して欲しい。

それにしても遠かった。片道2時間近くの道程。帰宅後、ゆっくり音楽を食む。

チャイコフスキー:組曲「くるみ割り人形」作品71a(ニコラス・エコノム編曲2台ピアノ版)
マルタ・アルゲリッチ、ニコラス・エコノム(ピアノ)

クリスマス・シーズンに相応しい選曲。本当に「くるみ割り」はチャーミングだ。序曲、行進曲、葦笛の踊り、花のワルツ、これほど人口に膾炙した音楽も少なかろう。クラシック音楽を普段聴かない人も知っているであろう旋律。チャイコフスキーのメロディ・メーカーとしての才能は底なしだ。ちなみに僕はチャイコフスキーとポール・マッカートニーにある種共通性を感じる。両者とも稀代のメロディストであると同時に深淵で重厚な音楽も書ける天才であり、また女性の人気が高い。

アルゲリッチ&エコノムのピアノ・デュオの録音はこの音盤以外になかったか・・・。フレイレ、ラビノヴィチなどなどアルゲリッチは数多のピアニストと協演しているが、エコノムとのデュオというのは出色の出来なのではないか。何より、エコノムは作編曲の能力に長けている。色彩感豊かな管弦楽で演奏されるから作曲者の伝えたいことがカラフルに伝わるであろうこの音楽を、いわば墨一色で「色鮮やかに」表現した名アレンジであり、名演奏で
あると思う。

ところで、愛知とし子の2月のリサイタルでは、昼間に「ファンタジー・カーニバル」と称するファミリー向けの企画(未就学児童入場可。ピアノ独奏版にて「くるみ割り人形」の抜粋も披露される予定)
を、そして夜に「ロシアン・ファンタジー」と銘打って一般向けの重厚なプログラムをお届けする予定である。乞うご期待!


2 COMMENTS

雅之

おはようございます。
ご紹介の「くるみ割り」エコノム2台ピアノ編曲版、これ以上望むところがないくらいよく出来ていますし、原曲の雰囲気が120%出ていて素晴らしいですね。私も大好きです。
エコノムは1993年の暮れ、交通事故で急逝しちゃいましたよね、40歳の若さで・・・、本当に惜しい才能を失くしたものです。彼の演奏では、かつてグラモフォンから、「展覧会の絵」と「クライスレリアーナ」という面白いカップリングのCDも出ていて、とりわけ「クライスレリアーナ」の、アルゲリッチとはまた違う、美しいタッチの演奏は好きでした(確か吉田秀和さんも褒めていた)。
彼の「展覧会の絵」については、私がいつも多大な勉強をさせていただいている、休八さんのホームページ「”展覧会の 絵” の展覧会 Exhibition of “Pictures at an exhibition”」
http://www.geocities.jp/qqbjj485/XPX/
の中の(第1展示室:ピアノ曲 E)でも、「しかし、エコノム編曲の2台のピアノ版「展覧会の絵」が実現していれば、しかもアルゲリッチとの共演であれば、と思う」と書いておられますが、全く同感です。
話がどんどん脱線して恐縮ですが、最近ムソルグスキーとシューマンのカップリングでは、アンスネス のCDが出て、特に「展覧会の絵」の斬新な解釈は、とても聴きごたえがありました。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/3675740
「子供の情景」他との組合せですが、アンスネスは「展覧会の絵」と「子供の情景」の、意外なほど多くの共通性を指摘しています。
「くるみ割り人形」「クライスレリアーナ」(両曲ともE.T.Aホフマンとのゆかりで共通)、「展覧会の絵」「子供の情景」、この4曲、私も何となく繋がっているような気がしてきました(笑)。
ポール・マッカートニーもですか?・・・、じゃあマイケル・ジャクソンまで繋げましょうか?・・・「友達の輪」(タモリ)を・・・(笑)。
あ!すみません! これらの曲を全部レパートリーに入れられている愛知とし子さんが最も大切な「友達の輪」でした!! 楽しみですね。

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岡本 浩和

>雅之様
おはようございます。
エコノムの演奏はこの音盤以外未聴です。おすすめの「クライスレリアーナ」など良さそうですね。
>エコノム編曲の2台のピアノ版「展覧会の絵」が実現していれば、しかもアルゲリッチとの共演であれば
これが実現していたらさぞかしですね。
>「展覧会の絵」と「子供の情景」の、意外なほど多くの共通性を指摘しています。
なるほど、興味深いです。
ポール・マッカートニーに関しては根拠無く直感的に書いてしまったことなので深く考えないでください(笑)。「友達の輪」(タモリ)というのも妙に懐かしいですね。
>これらの曲を全部レパートリーに入れられている愛知とし子さんが最も大切な「友達の輪」
まさに!(笑)

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