先日の滋賀短期大学での公開講座記録集のための原稿を作成しなければならず、やっと一息つけたのでその作業を始めた。レポートにして10枚程度、当日講演した内容をまとめるということなのだが、何をしゃべったのか細かいところまで思い出すのが意外に大変。
たった10日前の話しながら、ほとんどアドリブ的に話をしたものだから、レジュメを頼りに順番に書き出した。報告書という形で残るのだからどうせならきちっと良いものにしようと考えた。
何をするのであれ、どんな夢を見るのであれ、それを始めること。
大胆さには、驚くほどの創造力と、活力と、不思議な力がある。
(ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ)
BGMに、アルバン・ベルク四重奏団によるドヴォルザークの弦楽四重奏曲作品105を何度も繰り返した後、ふと思い立ち、久しぶりにシャルル・ミュンシュのフランクに耳を傾ける。
フランク:交響曲ニ短調
シャルル・ミュンシュ指揮ロッテルダム・フィルハーモニー管弦楽団(1966年録音)
晩年のミュンシュの紡ぎ出す音楽は異様に激しい。まるで何かにとり憑かれでもしたかのような寒気のするほどの激性と、老大家の棒とは思えないような若々しいスピード感溢れる音楽創りの妙味は、彼が最晩年に残したパリ管とのブラームスの第1交響曲やベルリオーズの幻想交響曲に優るとも劣らない刺激を秘めており、この録音が前述の2つのシンフォニーほど語られていない理由が理解できないほどだ。これは、SCRIBENDUMレーベルのコンサートホール・レコーディングBox Setに収められた1枚なのだが、同じくロッテルダム・フィルとのベートーヴェンの「田園」交響曲にもあてはまる事実なのである。ともかくもっと注目されても良いはず。シャルル・ミュンシュとは、まさに上記ゲーテの言葉通り、驚くほどの創造力と活力を秘めた大胆さをもつ大指揮者であったろうことが手に取るようにわかる録音集だ。いつだったか採り上げたシューリヒトのBox Set同様、「コンサートホール」とはいかに素晴らしい録音を残した団体なのだろうか・・・(それを廉価でCD化し、リリースしてくれるSCRIBENDUMレーベルはもっと偉い!)。
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