King Crimson “Larks’ Tongues in Aspic” (40th Anniversary Edition) (1973/2012)

特にプロ野球のファンだというわけではないが、元プロ野球選手のYoutubeチャンネルが面白くて、時折観ている。どんな世界にせよ極めた人たちの話が興味深いことはもちろん、諸々の有名無名のトピックスの裏話、顛末、嘘のような本当の話がたくさんあってどうにも飽きない。まして話術に長けた人たちの対話はいろいろな意味で勉強になる。

先日、偶々「Mr. Perfect槙原」を観ていたら、(話が面白かったことはもちろんだが)、そこに映り込んでいる壁についつい目が行った。何と知る人ぞ知る(?)キング・クリムゾンの傑作アルバム「太陽と戦慄」のジャケットが掲げられているのである。どこのお店なんだろう? 調べたところ、それは角盈男さんが店長を務める恵比寿の「m-129」だった。

「耳をつんざくほどの音量だが美しい、彼らは合成された電撃の壁を築いた。それはまるで爆弾がロシア革命の最後の日に炸裂したときに、ワーグナーがニーチェを肉挽き機に蹴り入れたかのような音だった」と一人の錯乱した評論家は書いた。
(リスナー&TVタイムス誌1992年2月24日(ニュージーランド)/ゲイリー・スティール)
The Great Deceiver Live 1973-1974ライナーノーツP54

キング・クリムゾンの「太陽と戦慄」を聴いた。
それにしても何という名訳なんだろう。
日と月が合一して明るい。アルバムの第一印象は「重くて暗い」というものだったが、今は違う。ここには永遠があり、そして普遍がある。5人のクリムゾンが織り成すヘヴィーな、同時に忘れ難い旋律を有する楽曲たちの愁いと喜び。音楽とはかくあるべき、という見本のような(?)コンセプトに、僕はいまだに思わず拝跪する。

・King Crimson:Larks’ Tongues in Aspic (40th Anniversary Edition) (1973/2012)

Personnel
David Cross (violin, viola, mellotron)
Robert Fripp (guitar, mellotron & devices)
John Wetton (bass, vocals & piano)
Bill Bruford (drums)
Jamie Muir (percussion & all sorts)

言葉にならない感動と相変わらずの興奮。2つの”Larks’”に挟まれた、組曲さながらの音楽たちは半世紀余りを経ても色褪せない。奇蹟なり。

それにしても20年経った今、最高のクリムゾンのショーを体験した人々に出会うのは素晴らしい。気迫に満ちた4人の若者たち—おうし座生まれの3人とふたご座生まれの1人—がハード・ミュージックを一心にプレイしたものだ。強くて速い、冒険的な試みの音楽だった。それを好む者もいれば、嫌う者もいた。まったく理解できない者もいた。しかしすべてが良い方向に行っていた時のパワーを否定する者はいないだろう。そして私もその中の1人として、何事にも変えがたい経験をしたのである。
(ジョン・ウェットン 1992年5月)
~同上ライナーノーツP31

相対世界において100%是ということはありえない。それこそキング・クリムゾンの音楽が本物であったことの証だ。

過去記事(2017年2月1日)
過去記事(2007年6月15日)

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