アラウ デイヴィス指揮シュターツカペレ・ドレスデン ベートーヴェン ピアノ協奏曲第1番ハ長調作品15(1987.2録音)ほか

重厚な浪漫。
クラウディオ・アラウの遺した、ベートーヴェンのピアノ協奏曲たち。
そのすべてが意味深く、素晴らしい。
中でも、サー・コリン・デイヴィス指揮シュターツカペレ・ドレスデンとのものは、ベートーヴェンの真髄を見事に表現する、稀代のセットだと僕は思う。

ベートーヴェンの真髄とは何たるや?
ひとつ、常に革新的であるということだ。

「さらに美しい」ためならば、破り得ぬ(芸術的)規則は一つもない。
ロマン・ロラン著/片山敏彦訳「ベートーヴェンの生涯」(岩波文庫)P135

そして、歓喜に達し、皆を喚起に導くことだった。

音楽は、一切の智慧・一切の哲学よりもさらに高い啓示である。・・・私の音楽の意味をつかみ得た人は、他の人々がひきずっているあらゆる悲惨から脱却するに相違ない。
(1810年、ベッティーナに)
~同上書P135

後年の思想断片ではあるが、彼の内側には、本より蠢いていた思考なんだろうと思う。

ベートーヴェン:
・ピアノ協奏曲第1番ハ長調作品15(1987.2録音)
・ピアノ協奏曲第2番変ロ長調作品19(1987.10録音)
クラウディオ・アラウ(ピアノ)
サー・コリン・デイヴィス指揮シュターツカペレ・ドレスデン

ウィーンに出、新進気鋭のピアニストとして意気揚々と自作の協奏曲を携え、方々で演奏して回った青年時代の傑作たちが、最晩年のアラウの老練の解釈によって意味深く、そして美しく奏される様子に言葉がない。最高だ。

アラウ&バーンスタインのベートーヴェン第4協奏曲(1976.10.17Live)ほかを聴いて思ふ アラウ&バーンスタインのベートーヴェン第4協奏曲(1976.10.17Live)ほかを聴いて思ふ アラウ&コリン・デイヴィスのベートーヴェン第3&第4協奏曲を聴いて思ふ アラウ&コリン・デイヴィスのベートーヴェン第3&第4協奏曲を聴いて思ふ アラウ&コリン・デイヴィスのベートーヴェン「皇帝」ほかを聴いて思ふ アラウ&コリン・デイヴィスのベートーヴェン「皇帝」ほかを聴いて思ふ ふと感じたベートーヴェンの愛 ふと感じたベートーヴェンの愛

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