The Jimi Hendrix Experience Electric Ladyland (1968)

マイルス・デイヴィスとジミ・ヘンドリクス。
彼らの共演は幻となったが、ジャンルの異なる巨匠がもし協働していたなら、と残念至極。
彼らに共通するのは、常人を寄せ付けない革新と、人間に通底する根源的エネルギーたるエロスとタナトスだ。

Miles Davis Kind of Blue (1959)

ジミに会ったのは、彼のマネージャーがオレに電話してきたからだ。そいつは、オレの演奏法や音楽の作り方をジミに教えてやってほしいと言った。ジミは、オレが「カインド・オブ・ブルー」やいろんなところでやったことを気に入っていて、自分の音楽にジャズの要素を加えたがってるってことだった。コルトレーンが吹きまくっていた演奏も好きらしくて、確かに彼はトレーンと似たような方法でギターを弾いていた。それに彼は、オレのトランペットのサウンドにギターのボイシングが聴き取れるとも言った。オレ達はすぐに仲良くなった。ベティも彼の音楽が大好きだったが、後になって、彼を肉体的にも好きだったことがわかった。こうして彼は、オレの家によく来るようになった。
~マイルス・デイビス、クインシー・トループ著/中山康樹訳「マイルス・デイビス自叙伝Ⅱ」(宝島社文庫)P131

マイルスが語るジミとの出会い。
楽譜の読めなかったジミをマイルスは次のように擁護する。

とにかくジミは、独学の、偉大な天性のミュージシャンだった。誰からでも、なんでも、しかもすばやく吸収してしまう。テクニック的な話をしていて、「ジミ、ディミニッシュのコードを弾く時には・・・」とか言い出すと、彼はまごついた表情を浮かべる。で、「OK、OK、忘れてたよ」と言いながらピアノかトランペットで演奏してやると、誰よりもすばやく理解してしまうんだ。あんな奴は、いない。彼は音楽を聴くための天性の耳を持っていた。だから、いろんな異なったやり方を示してやったり、オレやトレーンのレコードをかけて、何をやっているかを説明してやった。そのうち彼は、オレが教えたことを自分のレコードで生かしはじめた。すばらしかったな。彼はオレに影響を与え、オレも彼に影響を与えた。それこそすばらしい音楽が作られる関係なんだ。教え、教えられながら、もっとずっと先に進んでいくんだ。
~同上書P132-133

真っ当な言葉からは、真剣勝負たるマイルスのバンド活動に必要な天才がいつどこでも用意される天の采配だということがわかる。ジミ・ヘンドリクスの早世が、悔やまれる。

・The Jimi Hendrix Experience:Electric Ladyland (1968)

Personnel
Jimi Hendrix (vocals, guitars, piano, percussion, electric harpsichord; bass guitar on “Have You Ever Been (To Electric Ladyland)”, “Long Hot Summer Night”, “Gypsy Eyes”, “1983…”, “House Burning Down”, and “All Along the Watchtower”; comb and paper on “Crosstown Traffic”)
Noel Redding (bass guitar, backing vocals on “Crosstown Traffic”, “Little Miss Strange”, “Come On”, “Burning of the Midnight Lamp”, and “Voodoo Child (Slight Return)”; acoustic guitar and lead vocals on “Little Miss Strange”)
Mitch Mitchell (drums, percussion, backing vocals on all tracks except “Rainy Day, Dream Away” and “Still Raining, Still Dreaming”; lead vocals on “Little Miss Strange”)

ジミ存命中にリリースされた最後のアルバムであり、ここにはマイルスから学んだ様々なイディオムが刻印され、また、この後のマイルスの方向性(いわゆるエレクトリック期)にも影響を与えた傑作だ。

“Voodoo Chile”はマイルスにひな形をもたらす。

58年前の奇蹟。
ここから何をすべきなのか、もはやこの時点でジミは完成しているのではないか、あるいは互いに影響を与え合いつつも、二人が統合することはもはや不可能だったことを示すのか、天は二人に共演の機会を永遠に葬ってしまった。

個人的には、ディランの名曲” All Along the Watchtower”に太鼓判を押す。
(何と、パーカッションにブライアン・ジョーンズ!!)

そして、” Voodoo Chile”、および、最後の”Voodoo Chile (Slight Return)”に涙。
(何にせよ回帰に僕は感動する)

ホグウッド指揮アカデミー・オブ・エンシェント・ミュージック ルベル バレエ「四大元素」ほか(1978.6録音)

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