昨夜ふとテレビをつけたら、偶然NHKでマイルス・ディヴィスの特番をやっていた。
クラシックやロックほど語るだけの素養と経験が少ないのだが、ジャズの世界に開眼させてくれたアーティストこそが帝王マイルスなのであった。
25年ほど前の当時、何となくふとレコード店で見かけたジャケットが気になり、「ジャズでも聴いてみようかな・・・」という軽い気持ちで購入したのが、モダン・ジャズ史上至高の名盤「Kind of Blue」であった。最初に出会ったのがこのLPだったことはラッキーだった(というより、僕は音楽に関しての嗅覚はやはり鋭いと自画自賛モードである)。
40年以上もの間ジャズ界のトップに君臨し、しかも常に「変化」し続けたマイルス。
そして、常に「自分自身を刺激してくれるミュージシャン」としか共演しなかったマイルス。
確かに、彼のバンドから巣立っていったジャズメンたちは異様なほどビッグ揃いだ。
ジョン・コルトレーン、ビル・エヴァンス、キャノンボール・アダレイ、キース・ジャレット、チック・コリア、ハービー・ハンコック、ウェイン・ショーター、ジョー・ザヴィヌルなどなど枚挙に暇がない。しかも彼らは単なる一介のサイドメンではなく、いずれもリーダーとして君臨するテクニックとセンスを持ち合わせている天才たちなのである。そういう人たちを無名の丁稚奉公時代に瞬時に見分け、起用するマイルスの選択眼というかセンスというか、畏れ入る。
いずれにせよマイルスの周辺にはジャズの名盤がごっそりと眠っている。今日は、その中でも特にお洒落でかっこいいビル・エヴァンス・トリオの音盤を聴こう。
ビル・エヴァンス(ピアノ)
スコット・ラファロ(ベース)
ポール・モチアン(ドラムス)
いわずとしれた1961年、ニューヨークのヴィレッジ・ヴァンガードでのライブ録音である。まるでその場所にいるかのような錯覚に襲われる臨場感たっぷりの録音と、3人のテクニシャンの掛け合い、ぶつかり合い、そしてソロ、と全てが申し分ない。何とスコット・ラファロはこの2週間後に突然事故死するわけだが、要は彼の最後の演奏でもあるのだ。
ジャズ史上、というより20世紀音楽史上屈指の名盤です。お聴きあれ!
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[…] 半世紀前の6月、ニューヨークのヴィレッジ・ヴァンガードではビル・エヴァンス率いる黄金のトリオが、驚くべき集中力で見事なパフォーマンスを披露した。伝説のヴァンガード・ライブ。昼2回、夜3回に分けての公演はそのどれもが抜群の「間」と「呼吸」に満ち溢れており、クラシック音楽に限らず世の音楽ファンにはぜひとも繰り返し耳にしていただきたい記録である(それにしてもこの日の幸運な聴衆は一体何人くらいなのだろう?拍手や演奏中のおしゃべりの様子から想像するに多くても多くても30人ほどか・・・)。 […]