Live At Jacksonville 1972

ロバート・フリップが統制にどんなに戸惑おうが、1971&2年のキング・クリムゾンのライブというのは恐るべき「出来」を示していると僕は思う。イニシアティブをとろうとする人間にコントロールできない、一種カオス状態が音楽に与える影響というのは計り知れない。少なくとも、当日その場に居合わせた観衆にとっては信じられないようなパフォーマンスが繰り広げられたのだろうと残された記録を聴きながら思う。

私とピート・シンフィールドとの仕事上における緊張は、1971年秋のアメリカ・ツアーの間にさらに膨らんでいた。ピートはバンドが英国に戻ったあとの12月に脱退し、残された4人の方も1972年1月、ドーセット州ファーンダウンでのリハーサル中に空中分解した。

私以外のメンバーはアメリカの方に目が向いていたし、当時の私はヨーロッパに目が向いていた。パーティー遊びも私よりははるかに彼らは長けていた。

なるほど。フリップは自身の抑圧せるものを上手くコントロールし、それを表現手段の一つとして上手に使うことができた。一方、その他の(少なくともメルを除く)メンバーは感情を抑制することができず、それをそのまま音化しようとした。時を経れば経るほど乖離するわけだ。

しかしながら、この面子によるほとんど最終ともいえるこのコンサートの「出来」は、さすがにフリップが公式にリリースしただけあって素晴らしい。「ポセイドンのめざめ」「リザード」、そして「アイランド」からの楽曲が生々しく再現される。

King Crimson:Live At Jacksonville 1972

Personnel
Robert Fripp (guitar, mellotron)
Mel Collins (sax, flute, mellotron)
Boz Burrell (bass guitar, lead vocal)
Ian Wallace (drums, backing vocal)

1972年2月26日のライブ。
“Ladies Of The Road”、”Formentera Lady”、そして”The Sailor’s Tale”という流れが堪らん(笑)。フリップがどんな感情を持とうが、ここでは実にキング・クリムゾンらしい精緻でありながら極めてテンションの高い演奏が繰り広げられる、”Earthbound”とはまた違った意味で。

今宵、四半世紀ぶりに再会したメンバーとの忘年会。
フラメンコに始まり、2次会、3次会と続いた・・・。愉しきかな。
人に歴史あり。しかし、人と人との関係において時間と空間は何の意味もなさない。皆年は取るけれど一向に変わらないということ(笑)。ある種の音楽の場合も「時空」は無意味だろう。キング・クリムゾンは不滅なり。


2 COMMENTS

みどり

続きますね、クリムゾン! まだまだたくさんお持ちでしょう?(笑)

あくまでも独見ですが、フリップはイアン・マクドナルドが去った時点で
シンフィールドを必要としなくなっていたのではないかと思うのです。
元々シンフィールドはイアンが連れて来た(というのは言い過ぎですか?)
のだし、フリップの構想には入っていないのではなかったかと。
世に言われる「解雇」であったかどうかは、わからないのですが。

フリップの本心としては、ステージで起こることの全てを自身で制御したい
のでしょうが、そうは事が運ばず、フラストレーションが溜まって行く。
結果、メンバーチェンジに至るということでしょうか。

この時代なので聴衆も当然ライヴにインプロを求めるでしょうから、そこで
聴衆にアピールしようとするメンバーと、全てをコントロールしたいと考える
フリップでは協同できるはずもなかったのだろうと思うと、今さらながら
複雑な気持ちになります。
まさに岡本さんが仰る「乖離」だったのでしょうね。

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岡本 浩和

>みどり様
おはようございます。
まだまだあります(笑)。

シンフィールドはどうなんでしょうね・・・。作詞能力は抜群だと思うのですが。
ウェットン達との時にはパーマー=ジェイムズがいたわけですからああいう立ち位置の人が不要だったとは思えないのです。まぁ、おそらく能力的なことは別にして人間関係、ウマが合わなかったのでしょうね。

>フリップの本心としては、ステージで起こることの全てを自身で制御したいのでしょうが、そうは事が運ばず、フラストレーションが溜まって行く。結果、メンバーチェンジに至るということでしょうか。

これはおっしゃる通りだと思います。

>今さらながら複雑な気持ちになります。

そうですね。バンドに限らずカオス状態の中でも崩壊寸前のギリギリのところが一番面白いと思うのですが、それが「アースバウンド」ということなんですかね。

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