
1980年代、「ニーベルングの指環」の楽譜に忠実な編成での演奏会形式による日本初演を達成した朝比奈隆は、いずれ「ワルキューレ」の第1幕を演ってみたいと、宇野功芳さんとのインタビューで語っていた。残念ながらそれは実現されなかったが、もし実現し、さらにそのコンサートの現場に僕が居合わせることができていたら、人生最高の宝の一つになっていたことだろうと思う。
朝比奈隆の「ラインの黄金」を聴いて思ふ 初めて触れたのは、ご多分に漏れず、ハンス・クナッパーツブッシュ指揮ウィーン・フィルによるデッカのアナログ盤だった。
当時、浪人生だった僕は、勉強の合間に繰り返しそれを聴き、悦に浸った。
たぶんあの音楽の10%も共感・共鳴できていなかっただろうと、今にして思うが、その後も録音や実演に触れる機会を多々持つことで、僕はこの幕の意味と意義を理解していった。
そしてまた。リヒャルト・ワーグナーの全方向に及ぶ哲学的思考を深く享受することで、その意味深さに共鳴できるようになっていった。
クレンペラーのワーグナー楽劇「ワルキューレ」第1幕を聴いて思ふ
ワルター指揮ウィーン・フィルのワーグナー「ワルキューレ」第1幕(1935.6録音)を聴いて思ふ
インゴ・メッツマッハー就任披露公演の「ワルキューレ」第1幕 先日、ロトがSWR交響楽団を振った「ワルキューレ」第1幕を観て、久しぶりに釘付けになった。
3人の歌手たちの力量もさることながら、やはりロトの指揮に僕は心底感銘を受けた。
ジークムント、ジークリンデ、そしてフンディングという3人の心理描写と音楽の作り方、というか表情が見事にマッチし、その音楽を耳にするだけで、(仮に言葉が理解できずとも)誰がどういう心境でいるのか? そして、今後の物語の鍵となるジークフリート前夜の出来事、何より父母たる二人の出会いとその意味がよくわかるのだから面白い。
(良い演奏とは、そういう演奏をいうのだ)
・ワーグナー:楽劇「ワルキューレ」第1幕(演奏会形式)
ヨハンニ・フォン・オオストラム(ソプラノ、ジークリンデ)
マクシミリアン・シュミット(テノール、ジークムント)
ミカ・カレス(バス、フンディング)
フランソワ=グザヴィエ・ロト指揮SWR交響楽団(2026.2.27Live)
思わず惹き込まれるリヒャルト・ワーグナー。
シュトゥットガルトは、リーダーハレでの収録。すべてが素晴らしい。
できればロトの実演を聴いてみたいところだ。
グザヴィエ・ロト指揮都響第804回定期演奏会 ベートーヴェン「英雄」ほか 