オオストラム シュミット カレス ロト指揮SWR響 ワーグナー 楽劇「ワルキューレ」第1幕(2026.2.27Live)

1980年代、「ニーベルングの指環」の楽譜に忠実な編成での演奏会形式による日本初演を達成した朝比奈隆は、いずれ「ワルキューレ」の第1幕を演ってみたいと、宇野功芳さんとのインタビューで語っていた。残念ながらそれは実現されなかったが、もし実現し、さらにそのコンサートの現場に僕が居合わせることができていたら、人生最高の宝の一つになっていたことだろうと思う。

朝比奈隆指揮新日本フィル ワーグナー「ニーベルングの指環」ハイライト(1984-87Live)を聴いて思ふ 朝比奈隆の「ラインの黄金」を聴いて思ふ 朝比奈隆の「ラインの黄金」を聴いて思ふ

初めて触れたのは、ご多分に漏れず、ハンス・クナッパーツブッシュ指揮ウィーン・フィルによるデッカのアナログ盤だった。

クナッパーツブッシュ指揮ウィーン・フィル ワーグナー「ワルキューレ」第1幕(1957.10録音)を聴いて思ふ

当時、浪人生だった僕は、勉強の合間に繰り返しそれを聴き、悦に浸った。
たぶんあの音楽の10%も共感・共鳴できていなかっただろうと、今にして思うが、その後も録音や実演に触れる機会を多々持つことで、僕はこの幕の意味と意義を理解していった。
そしてまた。リヒャルト・ワーグナーの全方向に及ぶ哲学的思考を深く享受することで、その意味深さに共鳴できるようになっていった。

トローベル メルヒオール トスカニーニ指揮NBC響 ワーグナー 楽劇「ワルキューレ」第1幕第3場(1941.2.22録音)ほか クレンペラーのワーグナー楽劇「ワルキューレ」第1幕を聴いて思ふ クレンペラーのワーグナー楽劇「ワルキューレ」第1幕を聴いて思ふ ワルター指揮ウィーン・フィルのワーグナー「ワルキューレ」第1幕(1935.6録音)を聴いて思ふ ワルター指揮ウィーン・フィルのワーグナー「ワルキューレ」第1幕(1935.6録音)を聴いて思ふ インゴ・メッツマッハー就任披露公演の「ワルキューレ」第1幕 インゴ・メッツマッハー就任披露公演の「ワルキューレ」第1幕

先日、ロトがSWR交響楽団を振った「ワルキューレ」第1幕を観て、久しぶりに釘付けになった。

3人の歌手たちの力量もさることながら、やはりロトの指揮に僕は心底感銘を受けた。
ジークムント、ジークリンデ、そしてフンディングという3人の心理描写と音楽の作り方、というか表情が見事にマッチし、その音楽を耳にするだけで、(仮に言葉が理解できずとも)誰がどういう心境でいるのか? そして、今後の物語の鍵となるジークフリート前夜の出来事、何より父母たる二人の出会いとその意味がよくわかるのだから面白い。
(良い演奏とは、そういう演奏をいうのだ)

・ワーグナー:楽劇「ワルキューレ」第1幕(演奏会形式)
ヨハンニ・フォン・オオストラム(ソプラノ、ジークリンデ)
マクシミリアン・シュミット(テノール、ジークムント)
ミカ・カレス(バス、フンディング)
フランソワ=グザヴィエ・ロト指揮SWR交響楽団(2026.2.27Live)

思わず惹き込まれるリヒャルト・ワーグナー。
シュトゥットガルトは、リーダーハレでの収録。すべてが素晴らしい。
できればロトの実演を聴いてみたいところだ。

グザヴィエ・ロト指揮都響第804回定期演奏会 ベートーヴェン「英雄」ほか グザヴィエ・ロト指揮都響第804回定期演奏会 ベートーヴェン「英雄」ほか

2 COMMENTS

高岡拓也

岡本浩和さま
この『ヴァルキューレ』第1幕は、登場の歌手が3人で、コーラスも伴わないせいか、単独で実演やレコーディングに取り上げられるケースが、目立ちますね。
手許には、メータ指揮NYPとマルトン(S)、ホフマン(T)、タルヴェラ(B)のSONY盤がございます。LPでしたら、ワルター指揮VPO、レーマン(S)、メルヒオール(T)、リスト(B)の古典的名盤も棚に在ります。ワーグナーのオペラも昨今は『指輪四部作』や『パルシファル』のような、重厚長大な大作が持て囃され、ロマン派風の聴きやすい、『さまよえるオランダ人』や『タンホイザー』が却って人気低下の気味が見受けられるのは、いささか皮肉で残念な気も致しますが…。
時計の振り子の動きの如く、またワーグナーの入門用にふさわしい作品に、人気が戻って参りますように…と、祈っている昨今で、ございます。

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岡本 浩和

>高岡拓也様
>ワーグナーのオペラも昨今は『指輪四部作』や『パルシファル』のような、重厚長大な大作が持て囃され、ロマン派風の聴きやすい、『さまよえるオランダ人』や『タンホイザー』が却って人気低下の気味が見受けられるのは、いささか皮肉で残念な気も致しますが…。

まったくおっしゃるとおりです。
個人的には「パルジファル」を第一に推すのですが、初期の「オランダ人」や「タンホイザー」も大好物です。ワーグナーに限らず愛好する作曲家の作品は基本的にすべてを聴くべきだというのが僕のスタンスですので、年齢を重ねるごとの進化・深化を感じながら嗜むことは最高の法悦をもたらしてくれます。

初期作品もまた何かのきっかけで人気は戻ると思います。

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