セーゲルスタム指揮トゥルク・フィル シベリウス 交響曲第6番ニ短調作品104(2015.12.11Live)

徳は孤ならず必ず隣あり。
「論語」

孤高の美とでもいうのか。
ジャン・シベリウスの交響曲の中でも特に「弧」を感じさせる傑作。
しかし、その実、音楽の内から湧き出るものは慈しみであり、また智慧である。
余分なものが削ぎ落された、簡潔な、研ぎ澄まされた、音宇宙。そして、まるで「静寂の音」とも称すべき宇宙の鳴動。

レイフ・セーゲルスタムによる名解釈。
あの巨躯から生み出されるものとは信じ難い極限の美しさ。

観照、美、仮象がアポロン的芸術の領域を画定する。それらは、夢のなかで瞼を閉じながら芸術的創造を営む眼の、浄化された世界である。叙事詩もまたかかる夢幻状態へわれわれを置こうとする。われわれは眼を開いたまま何ものをも見てはならず、吟遊詩人が概念によってわれわれをその産出へ刺戟しようと努める心象を、味わい楽しまねばならないのである。
塩屋竹男訳「ニーチェ全集2 悲劇の誕生」(ちくま学芸文庫)P243

個人的にはニーチェのこの言葉を思い浮かべる。

まさに眼で聴き、耳で観る、そんな心境を喚起する。
(それは心眼を使うということに等しい)
だから僕はあえて映像を観ない。虚心に音楽に耳を傾け、シベリウスの孤独の声を聴こうとするのだ。
今宵はシンプルに。

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