Sonny Rollins Love At First Sight (1980)

人生の中で受けた最も強い閃きのひとつは、14歳のときに起きました。それまで、ハイドン以前とワーグナー以降の音楽を聴いたことがなかったので、ジャズも全く聴いたことがありませんでした。14歳になって初めてそうした音楽を聴いて、次から次へとさまざまな録音を、かなりのスピードで聴き漁りました。《春の祭典》、《ブランデンブルク協奏曲第5番》、素晴らしいチェンバロの独奏、ビバップ、チャーリー・パーカー、マイルス・デイヴィス、ジャズ・ドラマーのケニー・クラークの演奏などです。私よりもピアノの上手な友人がいましたが、その彼がジャズバンドを組みたがっていました。そこで、私はドラマーになろうと言って、その時点で打楽器を学び始めました。その時点で、鍵盤楽器から打楽器へと転向したのです。それは、それまでに入ったことのなかった部屋がある家に住んでいたかのようでした。そして14歳になった時に、誰かから「見てごらん、この部屋をこれまで見たことがなかっただろ」と言われたようなものです。私はその部屋に入ったところ、非常に気に入ったので、今でもそこに住んでいるのです! 西洋音楽において私が大好きなものは、ヨハン・セバスチャン・バッハから始まって中世音楽のペロティヌスまで遡ったあたりと、ドビュッシー、サティ以降の音楽です。また、ジャズも好きです。ジョン・コルトレーンの音楽を発見したことも閃きのひとつで、先ほどの閃きより後に起こりました。それは、1950年代終わりにジュリアード音楽院に既に通っていた時から1960年代はじめにカリフォルニアでルチアーノ・ベリオに師事していた頃でした。彼とエリック・ドルフィーの共演を何度か聞いていますが、驚くほど素晴らしかったです。2人はとてもよく共鳴し合う、素晴らしいプレイヤーだからです。私がコルトレーンから学んだことは、とりわけ「アフリカ/ブラス」(1961、インパルス・レコード)というレコードで聞き取ることができますが、ひとつのハーモニーに長い間とどまったとしても、音楽を面白くすることができるということです。ひとつのハーモニーの上で、ほとんど何でも演奏できるからです。
(スティーヴ・ライヒ)
~ハンス・ウルリッヒ・オブリスト著/篠儀直子・内山史子・西原尚訳「ミュージック―『現代音楽』をつくった作曲家たち」(フィルムアート社)P282-283

バーベリアン&セーゲルスタムのべリオ「エピファニー」&「コーロ」を聴いて思ふ バーベリアン&セーゲルスタムのべリオ「エピファニー」&「コーロ」を聴いて思ふ

スティーヴ・ライヒは、ジャンルを問わず、様々な音楽を吸収するが、コルトレーンとドルフィーからの影響も強いのだという。そういえば、コルトレーンは駆け出しの頃、当時すでに大御所然としてあったソニー・ロリンズと共演し、”Tenor Madness”という最初で最後のセッション録音を残している。駆け出しとはいえ、コルトレーンが挑む様子に感極まるが、片やロリンズの余裕はさすがといえる。(ライヒはロリンズに対してはどんな印象を持っていたのだろうか?)

今や世間のニュースに弱い僕は、ソニー・ロリンズが今年の5月25日に亡くなっていたことを、今知った。

80年代のロリンズの録音を聴いて、当時はフュージョン全盛の時代ゆえか、当然そちらの方向に彼も影響を受け、引っ張られていた。
ジャズの真髄は即興にあるが(というより、音楽の真髄はそもそもその点にあり、ジャズやロック音楽こそが音楽のあり方を決定づけているものだと言っても良いのかもしれない)、この軽快なリズムと、明朗な音調は、文字通り「音を楽しむ」ことを前提としたもので、しかも、世間の様々なイディオムを吸収し、活用しての独自路線を貫いており、このアルバムも素晴らしい出来だと思う。

何より音楽することが生きがいであり、楽しいという雰囲気満点。

・Sonny Rollins:Love at First Sight (1980)

Personnel
Sonny Rollins (tenor saxophone, lyricon)
George Duke (electric and acoustic piano)
Stanley Clarke (electric bass)
Al Foster (drums)
Bill Summers (congas, percussion)
(1980.5.9-12録音)

自由自在にテナーを操るロリンズのプレイは、実に有機的で、生きもののように思えてならない。当然それを支えるリズム隊の圧倒的な貢献力も大したものなのだが、内側からメロディーが、そしてリズムが、さらにはハーモニーが湧き出づるような技術はロリンズならではで(似非聖者として急激にあらぬ方向に進んだと見えるコルトレーンとは真反対)、心が躍る。

なかでも、ロリンズ作「ストロード・ロード」(名盤「サキソフォン・コロッサス」収録の楽曲の再録音)の疾走感が美しい。

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください。

アレグロ・コン・ブリオをもっと見る

今すぐ購読し、続きを読んで、すべてのアーカイブにアクセスしましょう。

続きを読む