John Coltrane Blue Train (1957)

1956年
・南部で人種共学を巡る紛争激化
・フルシチョフ、スターリン批判
・エルヴィス・プレスリー、RCAに移籍、メジャー・デビュー
・ハリー・ベラフォンテ、一連のカリプソ曲大ヒット
・この時期、チャートではLPによる映画のサントラ、ミュージカルのLP化、ムード・ミュージックの録音などが大流行
・Clifford Brown死去
Charles Mingus “Pithecanthropus Erectus”
Thelonius Monk “Brilliant Corners”
Sonny Rollins “ Saxophone Colossus”
Miles Davis Quintet Prestigeでマラソン・セッション
※モダン・ジャズ・アルバム、未曽有の大収穫年
1957年
・ソ連、大陸間弾道弾の実験に成功と発表
・ソ連、初の人工衛星「スプートニク」の打ち上げに成功
・リトル・ロック騒乱
・Sam Cooke、ソロ・デビュー「You Send Me」。インプレッションズ、シュープリームス結成。
Mile Davis “Miles Ahead”
Miles Davis 「死刑台のエレベーター」
Thelonius Monk “Thelonius Himself”
John Coltrane “Blue Train”
Lee Morgan “Candy”
Art Pepper “Art Pepper Meets the Rhythm Section”
1958年
・完全共学を目指したワシントン行進。全米で座り込み運動。
・ビルボード誌、売り上げとラジオ・ポイントを集計した総合チャートを「ホット100」と改名して開始
Miles Davis “Milestones”
Miles Davis “Porgy and Bess”
Art Blakey “Moanin’”
1959年
・ガンサー・シュラーらによる「サード・ストリーム」の提唱
・キューバ革命
・ベリー・ゴルディーJr.、デトロイトでモータウン設立
・レスター・ヤング没
・ビリー・ホリディ没
Miles Davis “Kind of Blue”
Miles Davis “Sketches of Spain”
John Coltrane “Giant Steps”
Bill Evans “Portrait in Jazz”
Dave Brubeck “Time Out”
Ornette Coleman “The Shape of Jazz to Come”
~菊地成孔+大谷能生「東京大学のアルバート・アイラー 東大ジャズ講義録・歴史編」P100-101から抜粋編集
Ornette Coleman “The Shape of Jazz to Come” (1959) Art Blakey and the Jazz Messengers “Moanin’” (1958) The Dave Brubeck Quartet “Time Out” (1959) マイルス23回目の命日に”Kind Of Blue”を聴いて思ふ マイルス23回目の命日に”Kind Of Blue”を聴いて思ふ Art Pepper meets The Rhythm Section Art Pepper meets The Rhythm Section スペイン素描 スペイン素描 Miles Davis PORGY and BESS Miles Davis PORGY and BESS 音楽に国境はない 音楽に国境はない ジャズの肖像 ジャズの肖像 Giant Steps Giant Steps 融け合う 融け合う Milestones Milestones

1959年がモダン・ジャズの完成とフリー・ジャズの黎明が交差する年だとするならモダン・ジャズの頂点は1956年から58年頃にかけてだ。
ジョン・コルトレーン、唯一のBlue Noteへのリーダー作を聴く。

1956年頃、レコードの規格がSP盤(スタンダード・プレイ)からLP盤(ロング・プレイ)に代わったことが大きい。
(20世紀の音楽の歴史は録音・再生装置の進化の歴史の支配下にあると言っても言い過ぎではなかろう)

ジャズは歌曲を抽象化し、ゲーム化することによって、ポップスの中ではそれまでにあり得なかったほど一曲の演奏を長時間なものにした、ということは前回述べました。LPっていうフォーマットは、こういった音楽的特徴を持つモダン・ジャズにとって、格好のメディアになったんですね。LPっていうフォーマットを最初に消化した音楽としてのジャズ、という視点はなかなかに重要なものだと思います。
56年制作の名盤たちの多くは、基本的にアルバム一枚レヴェルでの整合性を持つ、トータル・アルバムとして仕上げられています。1956年っていったらエルヴィスがシングルチャートNo.1を獲得した年で、エド・サリヴァン・ショーに出演して「下半身を映すな!」とかやってた年なんですが(笑)。モダン・ジャズはその時に既にこういったポジションを獲得していた、ということです。
このように、非常に充実していたジャズにとっての50年代。アメリカの安定からくるこのような50年代のソフィスティケーションは、ところが、60年代に突入するころから徐々に揺らぎ始め、60年代のカルチャーは50年代のそれとは全く異なったものになってしまいます。

菊地成孔+大谷能生「東京大学のアルバート・アイラー 東大ジャズ講義録・歴史編」P127

すべてはエルヴィスから始まった すべてはエルヴィスから始まった

文明の発展と変化のスピードに対応するように、ポピュラー音楽の世界にも大イノヴェーションが起ころうとしていた。コルトレーンの歴史はそのままジャズの歴史とフラクタルだ。
インパルス時代のコルトレーンからは想像もつかない、モダン一筋の、しかし正統なモーダルのジョン・コルトレーンが随分いかす。

The John Coltrane Quartet AFRICA / BRASS (1961)

・John Coltrane:Blue Train (1957)

Personnel
Lee Morgan (trumpet)
Curtis Fuller (trombone)
John Coltrane (tenor saxophone)
Kenny Drew (piano)
Paul Chambers (bass)
“Philly” Joe Jones (drums)

前奏から主部に入る移行部の挑発的インタープレイのカッコ良さ。
タイトル曲が実に素晴らしい。コルトレーンはリーダーとはいえ、まだまだ謙虚だ。
それゆえに、実にセクステットが対等に音楽を愉しむ様子が如実に伝わってくる。
もちろん”Moment’s Notice”の疾走感が素晴らしいし、”Locomotion”も圧倒的だ。

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

アレグロ・コン・ブリオをもっと見る

今すぐ購読し、続きを読んで、すべてのアーカイブにアクセスしましょう。

続きを読む